苦痛の少ない内視鏡 (胃カメラ・大腸カメラ)
内視鏡とは、細い管状のカメラを鼻や口、肛門などから挿入し、食道・胃・十二指腸や大腸を直接観察する医療機器です。内視鏡検査によって、日本人に多い胃腸のがんの早期発見につながることが多くあります。近年では、機器の性能もあがり、苦痛も少なく胃カメラでは5~10分、大腸カメラでは10~20分程度でほとんどの検査が終了します。
当院での苦痛の少ない内視鏡検査とは、『内視鏡機器の種類』、『内視鏡挿入の方法』を患者さんに応じて上手に選択し『培ってきた内視鏡技術』を駆使することで、極力苦痛を減らして行う内視鏡検査の事を指します。
これまで内視鏡で苦しい思いをされた事がある方や、検査に対し不安の強い方などは鎮静剤を用いて行うことも可能です。
さらに、当院では胃カメラ、大腸カメラとも『炭酸ガスを用いた送気』を行いますので、通常送気と異なり検査中や検査後の腹部膨満感がほとんど残りません。これも、苦痛の少ない内視鏡検査には必須の対応と考えています。
経鼻上部消化管内視鏡検査(鼻から入れる胃カメラ)について
以前の胃カメラは、口から挿入するタイプが主流であり嘔吐反射を誘発し苦痛を伴いましたが、現在は鼻から(先端部分が5-6mm程度)挿入する事で、挿入経路が変わるため嘔吐反射を誘発することもなく会話すらできるのが特徴です。苦痛を少なく検査を受けるには、検査中の患者さん側のコツもありますので、検査の時にお伝えいたします。
鼻腔を広げるお薬や、麻酔薬を塗布することでほとんどの方は問題なく内視鏡が挿入できますが、まれに鼻腔が狭い方や鼻粘膜の厚い方で挿入時に痛みを伴ったり、鼻出血をきたす方がおられます。(数分の圧迫で止血できます)
検査の流れ
検査前日
夕食は、夜9時までに、消化の良いものをとってください。
水分摂取(お茶やお水などの透明な飲料水)は、少量であれば検査1時間前まで可能です。
検査当日
朝、食事はとらないでお越しください(朝の薬がある場合には指示に従ってください)。
検査中
ベッドに左向きになった状態で検査を行います。
検査時間はだいたい5-10分ぐらいです。
詳細な評価のために、青い色素をまいたり組織を採取したりすることがあります。
大腸内視鏡検査
大腸ポリープや大腸がんは、日本人の食生活が欧米化している現在、増加している疾患です。血便、下痢、腹痛、腹部膨満感、便通不良などの症状や便潜血検査で陽性であった方には積極的に検査を受けられることをお勧めいたします。
おしりから入ったカメラは、曲がりくねった大腸をまっすぐに矯正しながら奥の方へ進めていきます。この時に下腹部に痛みや圧迫感を感じる事がありますが、適切な挿入方法であればほとんどの方は大きな苦痛なく盲腸(大腸の一番奥)までカメラを入れることができます。
ただし、以前におなかの手術を受けられたことがある方や、前回の内視鏡検査で痛みがつらかったというような方に対しては、鎮静剤・鎮痛剤を用いた検査も可能ですので、ご相談ください。
検査の流れ
前処置として前日の夜に下剤を服用していただきます。検査当日の午前中に2Lほどの下剤を服用し、腸内の便を出していただき、透明な水便になった時点で検査となります。(当日の下剤の服用は、ご自宅か院内で行うかご相談いただけます)
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専用の検査パンツに着替えていただきます。(腸の動きを抑えるお薬を注射する場合がありますので、肩の出しやすい服装でご来院ください。)
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肛門から内視鏡を挿入し、盲腸(大腸の一番奥)まで到達したら、カメラを抜きながら小腸の一部と大腸全体を観察します。
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検査は10~30分程度です(個人差や検査・治療内容でかわります)。
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もし病変が見つかれば、必要に応じて組織を採取する生検やポリープ切除を行います。生検を行った際には、出血のリスクとなりますので検査当日の飲酒は控えてください。ポリープ切除を行った際には、2週間程度は飲酒、過度な運動は控えるようにしてください。
留意事項
- 検査中は空気でお腹が張りますが、検査後数時間でもとに戻りますので心配はありません。
- 鎮静剤を用いた検査の後はベットで1時間ほど休んでから帰宅していただきます。
- 鎮静剤を用いた検査の後は、当日の運転はできません。(お薬の影響で運転中に眠気をもよおす可能性や注意散漫となることがあり、大変危険です)